はじめに:なぜ過去分詞と受動態を正しく理解することが重要なのか?

ビジネス英語では、正確かつ簡潔な表現が求められます。特に、過去分詞(Past Participle)と受動態(Passive Voice)は、報告書、Eメール、プレゼン資料で頻繁に登場するため、正しく理解しておくことが重要です。

例えば:

  • “The report has been completed.” (レポートは完了しました。)
  • “The completed report will be shared tomorrow.”完成したレポートは明日共有されます。)

どちらも「completed」を使っていますが、文法的な役割が異なるのがポイントです。本記事では、過去分詞と受動態の違いとビジネスでの効果的な使い方を解説します!

 


過去分詞(Past Participle)とは?

1.1. 基本の形と役割

  • 形: 規則動詞は -ed、不規則動詞は第3形。
  • 役割: 主に形容詞や完了形、受動態で使用される。

🔑 1.2. ビジネスでの使用例(形容詞的な役割)

  • “The approved documents are ready for submission.”
    承認された書類は提出の準備ができています。)
  • “Please review the attached file.”
    添付されたファイルをご確認ください。)

ポイント: 過去分詞は「〜された」や「〜した状態」を表すことが多いです。

過去分詞の形容詞的用法(限定用法 vs. 叙述用法)

過去分詞は形容詞として機能することがあり、その際には「動作」ではなく「名詞の状態や条件」を表す ことになります。

主な特徴

  • 過去の動作の結果としての名詞の状態を表す。
  • 関係代名詞節の省略形として機能することが多い。
    例:「the letter submitted by Dr. Smith」=「the letter that was submitted by Dr. Smith」
  • 限定用法(名詞の前)または叙述用法(連結動詞の後)で使われる。

例文

文の種類 例文 認知文法の視点からの説明
限定用法の過去分詞 The damaged goods were returned.(破損した商品が返品された。) 「damaged」 は形容詞として機能し、商品の状態を説明する。 行為そのものではなく、過去の動作の結果としての状態が焦点。
叙述用法の過去分詞 The goods are damaged.(その商品は破損している。) 「damaged」 は述語形容詞(be動詞の後)として使われ、現在の状態を示す。 進行中の行為ではなく、すでに生じた状態に焦点を当てている。
関係代名詞節の省略形 The letter submitted yesterday was urgent.(昨日提出された手紙は緊急だった。) 「submitted」は「that was submitted」の省略形であり、「手紙の状態」を強調している。 提出という行為よりも、手紙の状態が重要視される。

まとめ

  • 過去分詞が形容詞として使われると、動作(event)ではなく状態(state)に再構築される。
  • 行為者(agent)への注目が消え、結果や状態が強調される。
  • 「出来事ベースの概念化(event-based construal)」ではなく、「物・状態ベースの概念化(thing-based construal)」が行われる。

受動態(Passive Voice)とは?

2.1. 基本の形と役割

  • 形: be動詞 + 過去分詞(V3)
  • 役割: 「〜される」「〜された」など、行為の受け手を強調する表現。

🔑 2.2. ビジネスでの使用例(行為の受け手を強調)

  • “The proposal was approved by the manager.”
    (その提案はマネージャーによって承認されました。)
  • “All tasks have been completed ahead of schedule.”
    (すべてのタスクは予定より早く完了しました。)

ポイント: 「誰が行ったか」よりも「何が行われたか」を強調する場合に使用。

受動態(Passive Voice)は、単なる文法的な変換ではなく、情報の焦点を「行為者(agent)」から「行為の受け手(receiver)」へ移すための構造 です。認知文法の視点では、このシフトが出来事の認識方法に影響を与えます。

受動態の主な特徴

  • 焦点が行為者(doer)から受け手(receiver)に移る。
  • 行為者が不明・不要・暗示される場合、省略が可能。
  • 過程(プロセス)よりも結果を強調する。

例文

文の種類 例文 認知文法の視点からの説明
能動態 The manager signed the contract.(マネージャーが契約書に署名した。) 「manager(行為者)」に焦点が当たる。 これは「行為者ベースの概念化(agent-based construal)」を示す。
受動態(行為者あり) The contract was signed by the manager.(契約書はマネージャーによって署名された。) 焦点が「契約書(受け手)」に移る。 行為者(manager)はまだ含まれているが、重要度が下がる。
受動態(行為者なし) The contract was signed.(契約書は署名された。) 完全に「契約書」とその結果に焦点が移る。 行為者は不要または推測可能なため省略される。

まとめ

  • 受動態は出来事の構造を再編成し、「行為の受け手」を強調する。
  • 「行為ベースの出来事(action-based event)」を「状態ベースの結果(state-based outcome)」に変換する。
  • 行為者の省略により、焦点が「誰がやったか」ではなく「何が起こったか」に移る。
  • 科学論文やフォーマルな文書では、行為者よりもプロセスや結果が重要視されるため、受動態が多用される。

 


過去分詞と受動態の違いを整理!

項目 過去分詞(Past Participle) 受動態(Passive Voice)
役割 形容詞や完了形で使われる 行為の受け手を示す
文法構造 単体で使われる(例: attached file) be動詞 + 過去分詞(例: was approved)
意味 状態や性質を表す 行為や結果を強調
例文(形容詞) “The finished report…” ✖(受動態ではない)
例文(動詞) ✖(単体では動詞として使えない) “The report was finished by John.”
特徴 過去分詞の形容詞的用法 受動態
焦点 名詞の状態や条件 行為とその影響
行為者(Agent) 関係なし(名詞の状態が重要) 省略可能だが、暗示される場合もある
概念 行為を「名詞の特性」として捉える 行為を「影響・結果」として捉える
例文 The broken window needs fixing.(壊れた窓は修理が必要だ。) → 窓の状態に焦点 The window was broken by the storm.(窓は嵐によって壊れた。) → 行為の結果に焦点

よくある間違いとその修正ポイント

間違い: “The project completed successfully.”

正しい文: “The project was completed successfully.”

  • 解説: 過去分詞「completed」だけでは完了の動作を示せないため、be動詞 + 過去分詞の形で受動態を作る必要があります。

間違い: “Please find the attach file.”

正しい文: “Please find the attached file.”

  • 解説: 「attach」は動詞であり、形容詞として使う場合は過去分詞「attached」にする必要があります。

ビジネスシーンでの実践的な使い分け

💼 レポートやEメール

  • “The report has been submitted to the management.”
    (レポートは経営陣に提出されました。)
  • “The submitted documents will be reviewed tomorrow.”
    提出された書類は明日レビューされます。)

📊 プレゼンテーション

  • “The data was collected over three months.”
    (そのデータは3か月間で収集されました。)
  • “The collected data indicates positive growth.”
    収集されたデータは前向きな成長を示しています。)

TOEIC練習問題(Part 5形式)

  1. The documents ___ to the client yesterday.
    • (A) send
    • (B) sending
    • (C) were sent ✅
    • (D) has sent
      解説: 「昨日送られた」という受動態を表すため、were sent を使用。
  2. Please review the ___ file before the meeting.
    • (A) submit
    • (B) submitting
    • (C) submitted ✅
    • (D) submits
      解説: 「提出されたファイル」という意味で、形容詞的な過去分詞の submitted を使用。
  3. The new policy ___ by the management team last week.
    • (A) was approved ✅
    • (B) is approving
    • (C) approves
    • (D) has approving
      解説: 受動態の過去形が必要なので、was approved を使用。
  4. The ___ report highlights key business trends.
    • (A) complete
    • (B) completed ✅
    • (C) completing
    • (D) completes
      解説: 「完成されたレポート」を意味するため、形容詞的な completed を使用。
  5. All employees ___ about the new policy yesterday.
    • (A) informed
    • (B) were informed ✅
    • (C) informs
    • (D) has informing
      解説: 「全従業員が通知された」という受動態なので、were informed を使用。

まとめ:ビジネス英語での過去分詞と受動態の使い分け

  • 過去分詞: 形容詞や完了形で使用され、「状態」や「結果」を表す。
  • 過去分詞の形容詞的用法 は、動作を名詞の特性として捉える ことで、行為者の存在を排除する。
  • 受動態: be動詞 + 過去分詞 の形で、「〜される」「〜された」という意味を強調。
  • 受動態 は、出来事の構造を再編成し、焦点を「行為者」ではなく「結果」に移す。
  • この違いを理解することで、記述と出来事の表現を正しく使い分けることがで
  • 実践ポイント: 報告書やEメール、プレゼン資料で自然に使いこなせるよう、日常的に練習する。

この理解を深めることで、あなたのビジネス英語はよりプロフェッショナルなものになります! 🚀


コメント

“【完全保存版】過去分詞と受動態の違いを完全マスター” への1件のコメント

  1. […] 過去分詞と受動態についてはこちらでも詳しく説明しています。 […]

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